しのばずくん便り

不忍ブックストリート一箱古本市について 随時 情報を発信します!

第22回「不忍ブックストリートの一箱古本市」を終えて

2022年4月30日(土)11時~16時、第22回「不忍ブックストリート一箱古本市」を開催しました。この週はずっと天気が悪く、前日は大雨、翌日も雨というなか、奇跡のように晴れて無事開催できました。気温が上がりすぎなかったのもよかったです。実行委員のふだんの心掛けがよかったのだと自負しております。

 

2019年4月28日開催の第21回以来、新型コロナウイルス禍により2020年、2021年と開催できず、3年ぶりの開催となりました。それでも、まだ例年通りの規模での開催とはいかず、池之端エリアの忠綱寺とHOTEL GRAPHY NEZU(以下グラフィー)の2か所で、計25箱の出店という縮小した規模になりました。まず、大家さんとして場所を提供してくださった忠綱寺さんとグラフィーさんにお礼申し上げます。

 

実行委員と助っ人さんが9時30分に集合し、店主さんは10時に集合。諸注意や箱の準備をするうちに、すぐに時間が過ぎていきます。とくに忠綱寺は出店場所が境内・本堂・2階に分かれており、動線やスタッフの配置の確認に時間がかかりました。また、境内では野菜販売のマルシェも開催されていて、そちらにいらっしゃるお客さんもいます。集まったお客さんに塀の外に並んでもらっているうちに、11時の開場時間となりました。

 

今回、店主さんは抽選制としましたが、出店経験者・初参加者がちょうど半々になりました。

「第22回 一箱古本市」店主さんの箱を公開 | 不忍ブックストリート

いつものことですが、品揃え、ディスプレイ、売り方にそれぞれ工夫が凝らされていました。前回の半分の箱数でしたが、十分にバラエティに富んだ一箱古本市になったと思います。いろいろ不便もあったと思いますが、みなさん協力的でありがたかったです。

 

忠綱寺では境内→入場→本堂→2階→退場というルートを決め、人が多いときには入場をお待ちいただきました。グラフィーでは外と中に出店しているので、中に入る人数を限定しました。忠綱寺では昼前、グラフィーでは午後にかなりの行列ができましたが、流れは思ったよりもスムーズであまりお待たせせずに入場していただけたと思います。消毒への協力もあわせて、趣旨を理解してくださったお客さんのご協力に感謝します。

 

一箱古本市のいいところは、店主さんとお客さん、店主さん同士、店主さんと助っ人さん、お客さんと助っ人さんが同じ場所にいることで、さまざまな交流が生まれることです。とくに今回は3年ぶりとあって、懐かしい顔にたくさん会えました。以前は助っ人さんとして参加したお母さんのお腹の中にいた子が、今回は店主として「本屋さん」を楽しんでいる様子も見られました。

 

16時に販売を終了しました。金額は書きませんが、平均売上は前回に匹敵するほどでした。表彰式ができないので、プレゼンターに賞をお願いすることはしませんでしたが、南陀楼綾繁賞を勝手に授与します。差し上げるのは「BOOKBOXはがね」(忠網寺出店)です。昔の本といまの本のバランスが絶妙で、私は眉村卓選のアンソロジー『幻覚のメロディ』を購入。副賞は次に会う時に何かおごります!

 

この日は往来堂書店、古書ほうろう、ひるねこBOOKS、タナカホンヤも営業し、それぞれ多くのお客さんでにぎわったようです。ひるねこBOOKSでは、はと展「しのばずくんのキネマ画報」(~5月9日)、タナカホンヤでは、パネル展「10年後の被災地をめぐる「本のある場所」のいま」(~5月15日)をご覧になった方も多いと思います。

 

このように、何事もなく一箱古本市を終えることができました。コロナ禍での開催にあたりご協力を頂いた店主さん、大家さん、お客さん、現場に立ち会った助っ人さんに感謝します。

 

不忍ブックストリートは2005年の結成以来、不忍ブックストリートMAPと一箱古本市の両輪で活動を続けてきました。2011年の東日本大震災後も、被災地の本好きを応援しながら、一箱古本市を開催しました。しかし、コロナ禍では一箱古本市は2年開催できず、MAPも昨年は休まざるを得ませんでした。

 

不忍以外では小規模でも工夫しながら一箱古本市を開催するケースが見られましたが、「街を歩いて本と出会う」をコンセプトに、地域の複数個所に出店する不忍のスタイルでは、リスク管理が困難でした。昨年は対面でなく、箱を設置する「お店で一箱古本市」を行ないましたが、2022年こそは従来のかたちでの一箱をやろうということは、昨年秋には実行委員会で合意していました。昨年末にはオミクロン株という新たな脅威が出てくるなど、いつまでも落ち着かない状況が続きました。それでも、ほぼ毎月オンライン上で会議を行ない、開催への準備を進めてきました。

 

そんななか、実行委員の田川可琳さんが3月28日に急逝されたという知らせを受けました。まだ28歳という若さに信じられない思いでした。2017年の「しのばずくんの本の縁日」で助っ人になったことがきっかけで、2019年に自ら手を挙げて実行委員になってくれました。本の話をするときは生き生きとしていて、不忍の活動にも熱心に参加してくれていました。現在、田川さんへのメッセージを受け付けていますので、ご縁のある方はこちらからお寄せください(https://horo.bz/diary/20220418004559/)。

 

不忍ブックストリートをはじめて17年が経ちました。これまでに数えきれないほど多くの方々が関わってくれました。そして、谷根千という地域の方々の応援がなければ、ここまで長く続けることはできませんでした。

 

今後の不忍ブックストリートの活動については、これから実行委員会で話し合っていくことになります。最新の情報はTwitterやブログ「しのばずくん便り」をご覧ください。また、毎月1回、本や谷根千の話題をお届けする「不忍ブックストリーム」をYouTubeで配信しています。ご覧いただければ嬉しいです。

 

これからも不忍ブックストリートをよろしくお願いします。

南陀楼綾繁