しのばずくん便り

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12月の茶話会「アンソロジー文庫の愉しみ」のこと

12月15日(水)は、恒例の不忍ブックストリートの茶話会でした。毎回、誰かに話者になって30分ほど話をしてもらうのですが、今回は久しぶりに私、南陀楼の担当の回でした。予約も不要で、出入り自由の会なので、日によって集まる人の数が増減するのですが、今回は最近では少なめの7、8人でした。まあ、師走ということもあるのでしょうが、私の人望のなさも反映されているかもしれません。しかし、その少人数がかえってよくて、〈ブーザンゴ〉の羽毛田さんも加わって、みなさんの話もお聞きすることが出来ました。
今回のテーマは「アンソロジー文庫」。文庫で刊行されているアンソロジーのことですね。発売中の『本の雑誌増刊 おすすめ文庫王国 2010-2011』に私がアンソロジー文庫についての文章を書いたのですが、その準備で、これまで持っていたアンソロジー文庫を引っ張り出して見たら、意外にたくさん持っていることが判りました。それで、その辺の現物を見せながら、アンソロジー文庫について話してみたわけです。1970年代後半には各社の文庫で、SFやミステリ、あるいはテーマ別に編集したアンソロジーがたくさん刊行されており、それらで初めて知った作家や作品 がいかに多かったか、どの版元のアンソロジー文庫に影響を受けたのか、などをお話しました。ちなみに、原稿でも書いたとおり、私は現代の名アンソロジスト北村薫宮部みゆきのコンビだと思っていて、記事のタイトルにある通り「北村薫宮部みゆきのコンビに全十巻のアンソロジーを編集してほしい!」と切望しているのです。
来てくれたみなさんも、各自お気に入りのアンソロジー文庫を持ってきてくれました。中にははじめて知るものもありました。文庫だけじゃなくて、単行本でのアンソロジーの話もいろいろ出ました。そこで「アンソロジーって言葉をいつ頃から使うようになったのか?」という疑問が呈されました。た しかに、かつては「傑作選」「名作選」というタイトルが付くものが多かった気がするんですが、アンソロジーという言葉がフツーに冠されるように なったのがいつ頃か、知りたいですね。
その場でも云いましたが、誰か、「日本で刊行されたアンソロジーの書誌」ってつくってくれないでしょうか? あるいは、既に存在していたら教えて ください。翻訳小説のアンソロジーについては優れたサイトがありますが、純文学・エンターテインメント・エッセイまで含むアンソロジーの書誌(作品名、作家名からの索引は必須)は、まだ見かけたことがないような気がします。書誌まで行かなくても、面白いアンソロジー本を紹介する本なんてつくれたらいいなあ、と妄想が膨らみます。以上、12月の茶話会のご報告でした。(南)


【追記】これを書いた翌日に国会図書館に行ったところ、日外アソシエーツから『アンソロジー内容総覧』という書誌が刊行されていることを知りました。もちろん、作家名・作品名からも引けます。さすが、日外アソシエーツ、えらい!

1月の不忍ブックストリート茶話会「電子書籍の最前線」
くわしくは公式サイトのこちらのベージ