しのばずくん便り

不忍ブックストリート一箱古本市について 随時 情報を発信します!

ライオンズガーデン

三崎坂の中腹にあるライオンズ・ガーデン谷中三崎坂。藤棚が作りつけられた壁面や手入れされた植木、道行く人々の休憩のために設置された木製のベンチ、前面4階建ての圧迫感の少ない作りなど、ここはマンションでありながら、町と往来の人々への様々な配慮が感じられる場所になっています。それもそのはず、このマンションには谷中の町を愛する人たちの思いが込められているのです。
この地にマンション建設計画が持ち上がったのは1998年。当初の計画では、9階建て、戸数49の近代的な外観のマンションが予定されていました。寺町で低・中層の建物を中心とした谷中界隈では、異色の建物。このままでは町の景観も人のつながりも失われてしまう、と危惧した住人有志は、繰り返し建設者側との協議を行いました。その熱意が実り、日本では他に類を見ない、町に配慮したマンションへと計画が変更されたのです。
一箱古本市でお借りするマンションの共用スペースも、人々の思いが結実したもの。この場所は以前から、祭のお神輿の休憩場所になっていました。マンションを作るのであれば、今までの町の成立ちを考慮してこの場所を残してもらいたい。そんな思いが、このスペースの存続につながりました。現在では、お神輿の休憩場所としてはもちろん、圓朝祭(現・圓朝記念 落語協会感謝祭)の救護室など、マンション住人の方々と地域の人々との交流の場として利用されています。
「町は人のつながりを生み出すんだ。町が人間を作る。町が壊れたら、人のつながりも失われてしまうよ。」これは1965年からこの地で町を見守り続けてきた野池さん(谷中地区町会連合会会長)の言葉。町を愛する多くの方々の思いが、谷中という町を作っています。谷中の魅力とは、そんなお一人お一人の魅力でもあるのです。(青秋部I&N)


*ライオンズガーデン住民Tさんの愛読書
千利休とその妻たち』上下 曽野綾子著 新潮文庫
勅使河原宏監督の映画『利休』の描写とうまく重なって、何度も読み返しました。お茶と歴史と宗教という3つのキーワードに、感性を刺激されます。」

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*ライオンズガーデン谷中三崎坂
台東区谷中4−4−32