しのばずくん便り

不忍ブックストリート一箱古本市について 随時 情報を発信します!

「貸はらっぱ音地+香隣舎」 偶然と混ざり合うおもしろさ


かつては谷中学校の活動に使われ、現在では芸工展の本部としてもお馴染みの香隣舎。平成7年度の「台東区まちかど景観コンクール」にて「まちかど賞」を受賞するほど味わい深い建物ですが、その実態はご主人の「勉強部屋」なのだとか。ご主人はこちらで、趣味の絵画教室や俳句・俳画の勉強会を開かれているそうです。
そんな香隣舎の隣に広がるのが、貸はらっぱ音地。ご主人のMさんは、もともと谷中学校や芸工展の活動にも参加されていて、この土地が売りに出されるやいなや、いの一番に手を挙げられたのだそうです。そして他に類を見ない、屋外ギャラリーとして開放。「白い箱のなかでの展示に飽き足りない人や、ギャラリーを借りるほどの余裕はないけれど、なにかやりたいという人に使ってもらえたら」とMさん。その思いが結実して、これまでに様々な企画が実現されました。
たとえば、のこぎりを使って丸太を切る体験のできるワークショップ「木と遊ぶ」や、日干しレンガの制作、青空美容室など、屋外ならではの企画が盛りだくさん。GWには、お正月に引き続き、天才ナカムラスペシャル(通称天ナス)の谷中野外展も企画されています。
「屋外のおもしろさは、偶然があること」とMさんはおっしゃいます。雨が降ったり、陽が差したり、通りすがりの人が飛び入り参加したり……。そんな思いもかけない偶然と混ざり合って、作品はおもしろいように表情を変えてゆきます。「特別な目的もなく歩く人の目に止まり、おもしろい街だと思ってもらえれば嬉しい」というMさん。その目標は、自分ひとりではなかなか実現できないことを、まわりのみんなで手助けし、背中を押してあげられるような街の仕組みを作ることだそう。
「ここに住む人たちは、街のために情熱を惜しみなく注ぐ」と相棒のYさんはおっしゃっていましたが、おふたりもまさに、そんな街の住民のひとりなのでした。 (青秋部I&N)

天才ナカムラスペシャ
2007年5月4日(祝)〜6日(日) 昼頃から日没まで(雨天中止)
一箱古本市当日のイベントについては、「協賛企画」をご覧ください)


*貸はらっぱ音地ご主人の愛読書
Mさん「ぼくの知識はすべて、学研の「ひみつシリーズ」から得たと言っても過言ではありません。今の子どもたちにもぜひ読んでほしいです。」
Yさん「『富士日記』は何度読んでもおもしろい本です。一度手放したのですが、また買ってしまいました。」
富士日記武田百合子著 中公文庫


*香隣舎ご主人の愛読書
「海外のミステリーやハードボイルドが好き。それぞれの個性が生かされた人物描写に、つい引きこまれてしまいます。特に好きなのは、スティーヴン・キングやパトリシア・コーンウェル。最近読んだなかではキングの『ザ・スタンド』がおもしろかった。辻邦生の『春の戴冠』も捨てがたいです。」
『ザ・スタンド』スティーヴン・キング著 文春文庫
『春の戴冠』辻邦生著 新潮社

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*貸はらっぱ音地+香隣舎
台東区谷中7−17−6
http://ondi.exblog.jp/