しのばずくん便り

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映画保存協会  映画を発掘して、20世紀を再発見

住宅街にひょっこり姿を現す児童公園。その一番奥まったところ、屋根をつたに覆われた築100年になる蔵が佇んでいます。「けんこう蔵部」と名づけられたこの蔵は、お芝居や上映会などのイベントに活用されながら、近隣住民の手によって守られてきました。そこへ映画保存協会が事務所を構えたのは、2006年の春。以来、協会はこの蔵の再生事業を引き継いで、隔月一度の「ちいさな上映会」や、映写機操作講習会などを開いてきました。
そんな映画保存協会の活動は、多岐にわたります。まず様々なところに眠る映画フィルムを掘り起こし、フィルムの状態を調査。必要とあらば補修をし、復元したものを上映したり、DVDにしたりします。また映画フィルムの保存や上映に関する相談も受け付け、活用の機会に恵まれないフィルムについては、新たな活用法を検討し、上映の場を設けるための支援を行っています。
たとえばその一例が、「ホームムービーの日」。世界共通の記念日として定められたこの日(今年から10月の第3土曜日)には、全世界でホームムービーの上映会が行われます。昨年は日本国内だけでも13ヶ所で開催。フィルムの登場人物と一緒に泣き笑いながら、当時の風俗や暮らしぶりを垣間見ることもできます。ときには、フィルムのなかで元気に駆けまわっていた少年が、すっかり大人になった姿で登場し、観客から温かい拍手を浴びるなんていう光景が見られることも。
古い劇映画が好きで、活動に参加するようになったというスタッフのNさんは、こうした活動を通じて「世界が広がった」とおっしゃいます。「劇映画だけではなく、個人宅に眠る小型映画の大切さにも気付かされた。自分も撮っておけばよかったと思います」というNさんの言葉に、私たちも同意。お話をうかがっているうちに、ホームムービーを撮っておかなかったことで、なんだか自分たちがひどく損をしたような気分になったのでした。(青秋部I&N)


映画保存協会では、「映画の里親」になってくださる方を募集しています。「映画の里親」とは、失われた映画を発掘し、復元するための資金提供者を募って修復、上映・保存するプロジェクトです。これまでに4本の作品が復元され、里親の名前の入ったフィルムが各地で上映されています。第5回「映画の里親」作品は、林長二郎ことスター長谷川一夫の歌舞伎映画です。このプロジェクトに関心を持ってくださった方は、映画保存協会までお気軽にご連絡ください。

*映画保存協会 スタッフNさんお薦めの1冊
『視聴覚アーカイビング:その哲学と原則』レイ・エドモンドソン著 財団法人放送番組センター
こちらよりダウンロードできます。


*映画保存協会 スタッフNさんお薦めの1本
『LIVING ROOM CINEMAお茶の間映画館vol.1』
「ホームムービーの日に世界各国で上映されたフィルムのなかから、選りすぐったものをまとめたDVD。一番のお薦めは、1949年に撮られた結婚式の映像です。」

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*映画保存協会
文京区千駄木5-17-3
http://www.filmpres.org/
開館日 火・日 11時〜17時半(祝日はお休み)